「キリエくんは優しいねえー」
 そう言って僕の頭を嬉しそうになでる少女を僕は不思議なものをみるような目で見てしまう。僕の、どこが優しいのだと言うのだろう。ただ、卑怯に逃げ回ってるだけなのに。
 そう言うと彼女はきょとん、と不思議そうな顔をしたかと思うと次の瞬間にはげらげらと大層楽しそうに笑い出した。
「あは、あはは!私、私ね、そう言うところが好きだよ!」
 目尻に涙さえ浮かべながら言われた台詞に僕はただ俯くだけだった。羞恥心?照れ?まさか、


(返す言葉がなかった)