ぎゅう。
と、抱きつく。ヤツが不思議そうな顔で名前を呼びながら振り返るのが気配と想像で分かったけれど、後ろからだし背中に顔を埋めているから解らないんだと自分に言い訳してそのまま無言で張り付いた。おーい、と頭をぽふと叩かれても知らない、私知らないよ。
「ー?」
ごめんね、すぐに離れるからもう少しだけ、
ほたりと落ちた涙はワクの柔らかいTシャツの生地に吸い込まれた。