ある意味どちらも不器用なわけで、




、怪我してっぞ」
 私がそれを指摘されたのは丁度戦闘が終わった時だった。相棒である銃とナイフを腰元に釣ってあるホルスターに収め、ふーと息を付いているとスパーダがこちらに歩み寄りながらそう言ったのだ。どうやら私の右腕を指しているらしいスパーダの指先に釣られて自分の腕を見ると、なるほど、確かにモンスターの鉤爪で引き裂かれたのか素肌が露出しそこからじわりと赤が滲んでいた。
 そう言われて腕を意識し始めるとさっきまで痛くもなんともなかったはずの傷口がじくじくと傷む気がする。私はちょっとだけ痛みに顔を顰めつつも、次の瞬間には何でもないような顔で舐めときゃ治るよこれくらい、と言って実際舐めようとし──たらスパーダに慌てた様子で押さえつけられた。ちょ、痛い痛い、傷付近を握んないで……。
「な、何やってんだ!掠り傷じゃねェんだから舐めんなよ!」
「え、あ、……だ、だめ?」
「駄目だっつーの!」
 お前なァ、と呆れた顔で私を見たスパーダだけど、私の腕からたらりと一筋血が滴ったのを見て眉を顰めた。
「……取り合えず手当てしようぜ。まずは止血だ止血」
 そう言って木陰へぐいぐいと引っ張られる。特に逆らう必要性もないので大人しく付いていくのだが、心なし落ち着きがないように見える……ってこれは何時も通りか。見上げたスパーダの顔は残念ながら逆光になってしまっていて、その表情は帽子の影に隠れて分からなかった。

「ったく、ざっくり切られやがって。あーあ、これ結構深いじゃねーか。なんで気付かねェかなお前」
「それは私も聞きたいよ。ああもう意識すると確かに痛いもんこれ。スパーダが言わなきゃ痛いの気付かなかったのにー」
「そっちの方が問題アリだっつうの。化膿すんぞ──っと終わりだ。こんなもんだろ」
「……おお、綺麗。スパーダ実はこう言うの得意なんだね」
 そう言ってかざした右腕には綺麗に白い包帯が巻かれていた。くるくると巻きつけられたソレはよれることなくぴったりと私の腕にフィットしている。しかもコレを話しながら短時間でやってのけたんだから器用としか言いようがない。
「あー……まァ、昔ケンカばっかしてたかんなー。怪我しまくった時期もあるしよォ」
「慣れっこってことか。いいな、私多分こんな綺麗には出来ないわー」
「ケンカで慣れるってのもアレだけどな。ま、取り合えずには一生無理だ。慣れを超える不器用っぷりだからな」
「ひ、ひど……!」
 思わず引きつった顔をするとそれを見てスパーダはけらけらと軽快に笑いながら私の頭をぐしゃと撫でる。子供扱いすんな!と言ってやりたいところだけど、あんまりにもこの手が優しくて気持ち良いもんだからついうっかりと言う機会を逃してしまった。
 その上こんなことまで言われたら言う機会どころか、言う言葉すらなくしちゃうってもんだ。

「これでもなァ、お前のこと心配したんだぜ…」