この気持ちは一体なんなのでありましょうか。
時が経つごとに募る疑問はあれど、私の心に横たわる隙間を満たしてくれる答えはありませぬ。ただ日々を切々と悶々と小川の笹舟のように刻々と流されながら過ごすだけであり、悲しくなるまでに、切なくなるほどに欲しているのに私の手中にはけして収まりはしないのです。
それに気付いた時に感じた絶望と言ったら。
まるで暗闇に放り出されたかのような錯覚と言ったら。
なんて言うことなのでしょうか、貴方を見るだけで身体に埋まる琥珀の心臓が途端に薔薇色に染まると言うのに、その声が瞳が髪が首が指先が二の腕が肩が身体が太ももが爪先が骨の髄が心までもが、狂おしいと言うのに。髪の毛一本から爪先の先の先までが愛しく、無理なことと知ってもなお全てを私のものにしてしまいたいと願って止まないのです。ただひたすらにただ一途にお慕い申し上げたいので御座います。自分でもこの感情に名前をつけることが出来ませぬ。恋と呼ぶにはあさましく、愛と呼ぶほどにたおやかでないのです。ただ、ただ、その優しいテノールが私の名を紡ぐだけで、その万緑と神秘に満ちた森の中のようにくるくると色の変わる美しい瞳に私が一瞬でも映し出されただけで、その蜂蜜色の御髪に触れられただけで、それはもう死ねるほどに本望なのです。溢れそうな思いに溺れてしまいそうで、自分で自分を抑えられなくて酷く恐ろしくなります。手に入らないならいっそと眠る首に手をかけたこともありましたが、貴方の健やかな寝息を耳に入れた瞬間にそんな馬鹿げた思いは春の雪解けのように消え去ってしまいました。さてはてこれは尊敬なのか友情なのか厚情なのか愛情なのか憧憬なのか懇願なのか欲望もしくは狂気なのか。それすら分からない私は貴方のどこに唇を落とせばいいと言うのでしょう。
──嗚呼、
吐かれた吐息に合わせて伏せた睫がふるりと震え、瞳からほたりと滴が落ちました。それを見て慌てたようにハンケチを片手に駆け寄る貴方の優しさに私の思いは、今度こそ溢れてしまいそう、で。
──────嗚呼、
それならばいっそ溺れてしまいたいと願うことは罪なのでしょうか、アーサー様。
溺れるように、溢れるような