いっつもそうだ。
望ちゃんは全部全部自分ひとりで背負おうとしてる。私も居るのに。確かに仙道としての力はそんなにないし、お世辞にも器用とも言えない。性格だって特別優しいわけでもなんでもない。普通。平凡。そう、これが一番しっくり来る感じ。弱い。うん、これでもいいかな。
でもね、特別凄いことも出来ない私だってきっとやる時はちゃんとやれるよ。私だって、持てる力を全部使えばたとえ相手がどんなに強くても、盾になれる。そしたら絶対守ってあげるし、傷も癒してあげる。愚痴も怖いのだって聞いてあげられるし、なんなら抱きしめてあげる。ぎゅう、とね。弱さをさらけ出したっていいよ。全部受け止めるから。それくらいなら私にだって出来るでしょう?
「…」
なぁに?
「すまんのう…」
謝ることじゃあないよ。むしろ謝らなくちゃいけないのは、私。
「……痛かったろうに」
このくらい望ちゃんが今まで受けた痛みに比べれば可愛いものだもん、平気平気。
「……わしがしっかりしてれば…」
違う、違うんだよ。ねえ、聞こえてる?私の声、聞こえて、る?(もしかして……聞こえてない?)
「……っ…く…」
ああ、泣かないで。私、幸せなのに。望ちゃんのこと守れて幸せなの。あとはきっとみんなが望ちゃんを支えてくれるよ。私が居なくてももう平気。大丈夫だよ。だから迷わないで。私のせいで望ちゃんに立ち止まられちゃったら、私はみんなになんて謝ればいいの?それより望ちゃんには大切な仕事があるんだから!しっかりしてよ!
「………っ…!」
──止めて、そんなに名前を呼ばれたら悲しくなるよ。私、望ちゃんを泣かせたいわけじゃないんだよ。笑ってて欲しいんだよ。ねえ、いつもみたいに笑ってよ。私、望ちゃんが笑ってるほうがすきなんだよ。泣き顔なんて似合わない。みんなの参謀がそんなことじゃあ革命も何も失敗しちゃうじゃない。馬鹿。バカバカ!
「すまん…!」
もう、謝ってばっかだなぁ。
…でもね、そうは言っても私も実は少しだけ怖いんだ。封神台に飛ばされたらどうなるんだろう。意識も何も残らないのかなぁ。それは少し、うぅん、すごくいやだな。望ちゃんとも思い出は死んでも離したくないもの。すっごく、大切なの。
──嗚呼、でももうそろそろ駄目みたい。これでも頑張ったんだけどな。行かなくちゃ。魂が、呼んでいる。すうと身体から引き離されていく感覚、はっとしたようにこっちを見る望ちゃんと目が合った。にこり。私、ちゃんと笑えたかな。
「望ちゃ、ん」