「静雄くんほっぺたにクリームが付いてる」
「ん」
「うん、綺麗に取れたよ」
「……」
「ああ、よかったら私の分もちょっとあげようか。さっき静雄くんがショーケースで迷ってたモンブランだよ……はい」
「んまい」
「ふふ、そりゃ良かった良かった。さて、私も君のショートケーキが欲しいところなんだけどなあ」
「あの、?ちょっとさん?」
「ここのケーキは美味しいね。また来ようね」
「ん」
「君、ひょっとしてショタコ……げふらッ!」
「さっきからBGMが五月蝿いなあ……。どうにかならないものかなあ……」
「(もっもっ……)」
「い、いくらなんでも裏拳を決めてくるのは如何なものかと思うよ……。っつーか、、シズちゃんのこと甘やかしすぎじゃない?」
「そんなことないと思うけど」
「あ、ようやく返事した」
「だって、折原くん五月蝿い上にしつこいんだもの。……だからアンタ人に嫌われるんだよ」
「ちょ、ボソッと傷つくこと言わないでよ。君さあ、ついこの前、俺のことショタコンだとかなんだとか言ってたけど、今むしろそれに当てはまるのは自身だと思うよ。何、その変貌ぶり、見ててキモイんだけど」
「大丈夫、静雄くんだけだから。てか、むしろ私はなんで折原くんがそんなに静雄くんのこと嫌いなのか分からないよ。それってあれ?人気あるから嫉妬してるの?大人げないねえ」
「(もっもっ……)」
「君には何を言っても無駄な気しかしないよ。……で、話は戻るけどさ、」
「うん」
「君、マジでシズちゃん甘やかしすぎ。ちゃんと躾けてくれることを期待して君のところに預けたのに。シズちゃん、ちょっとぷくぷくになってるじゃん」
「ちょっと待って今聞き捨てならない台詞が色々と入ってたぞ」
「いくら何でも、流石に目に余ったからね。それだけ言おうと思って。じゃーねー」
「…………」
「(もっもっ)」
「……必殺、頬つまみー…………うおっ、」
「ん?」
「…………静雄くん、そろそろお店、出ようか」
──それから私が心を鬼にして静雄くんダイエット計画に励んだのは言うまでもない。
あまやかしすぎはいけません