山道に入り、お互い無言が続く。木々が続く景色に少し飽きた私は目を閉じた。瞼の裏に潜む暗闇の中、山道を走っている所為か、さきほどよりもがたんがたんと揺れる。ぴょこぴょこと飛び上がっては落ちるので、少しだけお尻が痛い。
「ちゃん平気かい」
「へ、平気、です……っ……ひゃ、」
がたん、
どうやら少し大きい石を踏んづけたようで、今までで一番大きく揺れた。今度はお尻だけでなく頭も後部席に打ち付けたためか、ぐわんと軽く眩暈がした。
「あとちょっと、だから。もう少しの辛抱だよ」
「分かりましっ、た」
がたんごとん、
がたがた、どん、
かたかた……ごん、
どうやら中々に険しい山道のようだ。今時整備の行き届いていない道なんてない、と言ってもいいくらいの時代なだけに、珍しい。典型的なインドア派の私にとってこの揺れは心地よさよりも、少しの不快感と車酔いを与えた。
がたごと、がたんっ
そんな揺れにすら泣きたくなる私はもしかしたら結構追い詰められているのかも知れない。そう、他人事のようにぼんやりと思った。